キューティ・バニー - 町田敦夫

◆プレイメートがダサい女子大生の改造作戦を展開(70点)

 『絶叫計画』シリーズで監督や共演者からいいようにイジられていたアンナ・ファリスが、典型的な白痴美人のプレイメートに扮したコメディ。27歳になった途端にプレイボーイ・マンションから追い出されたシェリーは、ホームレスになる寸前、寂れた大学女子寮に寮母として転がりこむ。ところがその寮に住んでいたのは、真面目で成績こそいいけれど、まったくイケてない女子ばかり。新規の寮生を増やさないと寮が潰されると聞いたシェリーは、持ち前のファッションセンスとパーティアニマルぶりで彼女たちを改造し、人気の女子寮に仕立てようとするが……。

 シェリーと寮生たちのミスマッチぶりが何しろケッサク。男にチヤホヤされるのが当然と思って生きてきたバニーちゃんが、男子にはまるで縁遠い女子大生の中に飛びこんだのだから、当然話はズレまくる。寮生は寮生で、露出の多い服を着たおバカなブロンド美人を軽蔑気味だ。ところがKYなシェリーは、あくまでもポジティブ。並みのエステティシャンやファッションアドバイザーなら尻尾を巻いて逃げだすような寮生たちを磨きあげ、着せ替え、本当にイケてるギャルに変身させちゃうのである!

 注目すべきは、コンプレックスのかたまりだったり、ビミョーに変人だったりした寮生たちが、外見が変わるにつれて内面まで(良くも悪くも)ギャル化するところ。自信が芽生え、臆せず男子と話せるようになったはいいが、成績は急降下。そのうえ入寮希望の地味な女子学生を(つまりは数日前までの自分たちの同類を)さげすむようになる始末。内面が外面に現れるのが人間なのか、外面が内面を変えるのが人間なのか、そんなニワトリと卵的な命題を考えさせて、このコメディ、けっこう深い。

 シェリーはシェリーで、老人ホームを運営するオリバー(コリン・ハンクス)とデートするものの、彼がこれまでの手練手管では落ちないことに茫然自失。世の中には女性の内面を知ろうとする男性もいるのだと、逆に寮生たちからアドバイスを受ける。こうした「陸に上がった魚」型の物語では、主人公が自らの取り柄を生かして活躍する爽快感と、迷いの果てに他者の価値観を受け入れる成長ぶりとのバランスが肝心。私たちがおバカなシェリーにいつしか感情移入してしまうのは、その基本がしっかり押さえられているからだ。

 脚本のカレン・マックラー・ラッツとキルステン・スミスは、『キューティ・ブロンド』(01)や、この秋公開の『男と女の不都合な真実』を手がけたコンビ。ギャグのセンスも上々だ。中でもおかしいのが、本筋には何の関係もない小ネタの繰り返し技。シェリーが『エクソシスト』のリンダ・ブレアみたいな声を出すたびに(人の名前を覚える時の癖)、あきずに何度も吹きだしてしまうのはなぜ?

町田敦夫

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