キャプテン - 福本次郎

◆ボールを怖がり、バットをまともに振れないほどの野球センスのない少年が、猛練習でみるみる上達していく。その一方で、素人同然だった主人公役の少年の演技が、物語が進行するにつれて野球同様に上達していく様子が楽しい。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 ボールを怖がり、バットをまともに振れない。そんな、信じられないほど野球センスのなかった少年が、猛練習でみるみるうちに上達していく。いくら伸び盛りの中学生とはいえ、リアリティを無視した練習シーンには引いてしまう。その一方で、最初は俳優として素人同然だった主人公役の少年の演技が、物語が進行するにつれて野球同様に上達していく様子を見るのが楽しい。その他にも演技経験のないような元女子アナを起用したりと、俳優の演技レベルが非常にばらつきがあり、過剰な演技と不足気味の演技が混在するという、そのちぐはぐ感が逆に映画に手作り風の味わいを与えている。

 公立中に転校してきたタカオはいきなり野球部のキャプテンに任命されるが、たちまちヘタクソぶりが暴露されてチームメイトから見放される。一念発起したタカオは父の元で秘密特訓し、チームから信頼を取り戻す。そして、地区予選では快進撃が始まる。

 キャプテンとしての重責、それは何より練習に取り組む姿勢で示さなければならない。名門チームで球拾いだった気の弱いタカオが誰よりも厳しいトレーニングを自分に課す。そんなタカオを応援する父が、自らの背中で上に立つものの気概を示すシーンが心地よい良い。家族とチームメイトに恵まれたタカオは徐々に自信を取り戻していく。その過程で勝利の味を知った彼らが舞い上がってしまうところなど、精神的な未熟さもきちんと描かれている。

 しかし、こと「野球」に関してはどうしてディテールにこだわらないのだろう。元高校球児との夜のノックや名門野球部の選手や監督たちなど、マンガなら許されても実写映画では許されないだろう。極めつけは、顧問の女教師が9回の攻撃中に指を怪我したタカオを病院に連れて行こうとする。次の打順で他に頼りになる代打もいない場面では、普通はタカオを励ますだろう。いくら野球音痴の女でも、それくらい気づくはず。小林麻央扮するこの女教師がひとりで作品のクオリティを下げていた。

福本次郎

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