キャプテン・フィリップス - 樺沢 紫苑

あなたは、人のために命を投げ出すことができますか?(点数 90点)

トム・ハンクスつながり。
現在、レンタルで見ることができる「キャプテン・フィリップス」を
紹介したいと思います。

2009年におきたソマリア海域人質事件を元にした作品。
ポイントは三つ。一つ目のポイントは「責任感」

トム・ハンクス演じるコンテナ船のフィリップス船長。
舟はソマリア海賊の襲撃を受けます。

「武器」を持たない乗組員が、知恵と工夫で、
迷路のように入り組んだ巨大なコンテナ船内の攻防は
見応えがあります。

しかし、船員たちは人質にとられます。
そこで、フィリップス船長は言います。

「俺はどうなってもいいから、船員には手を出すな!」と。
その船長としての、「責任感」が凄いです!!

最後には、自分一人が人質となって、
海賊に連れられて行くわけですが、
自分の身を呈して船員の命を守るという、その姿勢に心打たれます。

2つ目のポイントは「海賊もつらいよ」。

この映画、「海賊」=「絶対悪」という
単純な図式は当てはまりません。

「盗人にも三分の理」ではありませんが、
職を失った元漁民が、命をおどされ、海賊として
無理やり働かされています。

海賊たちも、生きるのが精一杯なのです。

好きで海賊をやっているわけではないという。

このような、「加害者」側の描写が、
映画に深みを持たせています。

3つ目のポイントは「プロパガンダ」。

海賊に連れ去られたフィリップス船長を救出するために、
アメリカ軍は駆逐艦やミサイルフリゲート艦、
強襲揚陸艦まで投入して、ネイビーシールズによる救出作戦を行います。

米国人一人を救出するためにここまでやるのかと驚かされます。
裏や返せば、アメリカ国民に手を出すと「ただじゃすまないぞ」
という脅しにも見えます。

結局のところ、こうしたアメリカの徹底した対応は、
次の事件への抑止力にもなるのでしょう。

もし日本人が人質にとられたなら、
日本はどこまでしてくれるのか・・・、
そんなことも考えさせられます。

ソマリアの軍部と欧米の企業が、産業廃棄物の投棄を
認める条約を結び、ソマリア沖に放射線物質が投棄され、
漁業ができなくなった。

ソマリア海賊が出現した原因にアメリカも深く関わっている
にもかかわらず、そうした事情が全く描かれていないという
批判もありますが、
本作は「フィリップス船長」の個人の視点から
この事件を眺めている以上、しかたがない気もします。

あるいは、やはり「アメリカ」寄り、
アメリカを正統化する視点で描かれているという点も否めません。

社会派映画というより、絶望的状況の中でも決してあきらめない
フィリップ船長の限界状況の心理を描いた
ヒューマンドラマとして楽しむべきなのでしょう。

樺沢 紫苑

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