カンパニー・メン - 福本次郎

人生のどん底で、家族の理解と支えがいかに励みになるかをこの作品は教えてくれる。(点数 60点)


(C)2010-JOHN WELLS PRODUCTIONS

高級住宅街の豪邸に住みポルシェを乗り回す男が、社会情勢の変化で
一瞬にして職を失う。エリートの矜持は再就職の邪魔にしかならず、
迫りくる無収入の日々への恐怖を忘れようと消費行動をやめない。失
業の現実を直視できない主人公とは対照的に彼の妻子は窮乏生活への
準備を進めている。物語は、会社一筋に生きてきた男たちが、そのよ
りどころを奪われたときに胸をよぎる感情をリアルに再現する。そん
な人生のどん底で、家族の理解と支えがいかに励みになるかをこの作
品は教えてくれる。

【ネタバレ注意】

ボビーはリーマンショック直後にリストラされ、再就職支援センター
に通い始める。しかし、求人はほとんどなく、面接にこぎつけても噛
みあわない。やがて失業手当も尽き、家も愛車も手放す羽目になる。

“なぜオレがクビに”という驚きは怒りに変わり、“きっと見返して
やる”という思いは不採用が続くうちにあきらめから絶望になってい
く。優秀な自分ならばすぐに新しいポストは見つかると考えていたボ
ビーの思い上がりは不採用の連続でズタズタにされ、一家を養う必要
から義兄の大工仕事を手伝うようになる。

どこか肉体労働を見下していたボビーにとって、それはプライドを捨
てることなのだが、一方で誰にでもできると思っていた単純作業でも、
プライドと責任感を持って取り組んでいる人間がいることを知る。そ
のあたりのボビーの心情の変化の過程が非常に濃やかに描かれていた。

福本次郎

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