カムイ外伝 - 福本次郎

キャラクターや時代背景の設定の説明ばかりに時間が割かれ、ストーリーがおろそかになってしまった。そもそも社会をドロップアウトしてまで主人公が目的とした、「自由に生きること」とはどういうことなのかが全く見えてこない(40点)

カムイ外伝

© 2009「カムイ外伝」製作委員会

 濃厚な森の緑に身を同化させ追っ手に罠を仕掛ける様は「ランボー」の如く、群青の大海原から襲いかかる巨大サメを仕留める様子は「ジョーズ」のよう。江戸時代、被差別階級に生まれたゆえに苦難の人生を送るハメになった男がたどる道程は、70?80年代のハリウッド映画を彷彿させる。しかし、キャラクターや時代背景の設定の説明ばかりに時間が割かれ、ストーリーがおろそかになってしまった。そもそも社会をドロップアウトしてまで主人公が目的とした、「自由に生きること」とはどういうことなのかが全く見えてこない。

 忍者の世界の厳しい掟に耐えられず「抜け忍」となったカムイは、追っ手に命を狙われる日々。ある日、殿様の馬の前足を切り取った半兵衛と出会い、カムイは半兵衛の住む漁村に行く。そこにはかつてカムイが戦った「抜け忍」のスガルが半兵衛の妻となって生きていて、スガルは一目でカムイの正体を見抜く。

 「非人」階級のカムイと、一応「人」の農民、権力を握る殿様。同じ赤い血が流れる人間なのに、生まれついた身分で運命は全く違ったものになる。だが、差別される人々の心情を語ってこそカムイの渇望が表現できるはずなのに、中途半端なアクションシーンばかり繰り返され、肝心のカムイの怒りや苦しみが見えてこない。せっかく漁村の生活がディテールまで描きこまれているのに、カムイの感情は置いてきぼりのままだ。

 さらに、「渡衆」と名乗るサメ狩り集団が漁村を訪れ、同じく抜け忍の誼でカムイに好意を示す。ところが、そのリーダーたる不動がカムイを始末するために派遣された「追い忍」に突然変ぼうするというあほらしさ。しかもカムイを殺す機会などいくらでもあったのに、なぜか村人と子分たちを全員毒殺してからカムイに刃を向ける不思議。また「追い忍」の隻眼の頭目が絵師となって殿様に仕えているが、この男が正体を現す場面はゴムマスクを脱ぐ「ミッション・インポッシブル」な展開。大規模なロケとオープンセットにカネがかかっているのはよくわかるが、原作の読み込みが足りず完全な失敗作に終わってしまった。絵師が殿様に見せる地獄絵図が、この作品が製作者にもたらす現実を暗示していた。

福本次郎

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