ジョニデの元妻・ヴァネッサの演技に涙っ!(点数 90点)
(C)2011 Productions Cafe de Flore inc. / Monkey Pack Films
タイトルを見て、カフェでのお話だと思っていました。カフェで出会うカップルの甘い恋物語かしら? それとも、波瀾万丈の群像劇?
ええっと、どれも違っていました。
これは、マシュー・ハーバートの名曲のタイトルでヴァレ監督のお気に入りだとか。
この曲が、ふたつの異なる時代と場所の登場人物たちを結びつけています。
1960年代のパリでは、美容師のジャクリーヌが、女手一つでダウン症の息子を育てていました。『カフェ・ド・フロール』は、息子・ローランのお気に入りの曲なのです。
現在のモントリオールでは、40代のアントワーヌが、一目会った瞬間に強い絆を感じたローズと熱烈な恋に落ちていました。運命の相手と思って結婚した妻・キャロルとは、ふたりの娘をなしながらも、どうしようもなくローズに惹かれていたのです。
音楽には、人生を変える力があると信じているアントワーヌのお気に入りも『カフェ・ド・フロール』。
シングルマザー・ジャクリーヌ役のヴァネッサ・パラディがものすごく光っています。
近年は、ジョニデの元妻という扱いが否めませんでしたが、息子のために体も命も張る肝っ玉母さんを大熱演です。
突き抜けたような鬼気迫る演技にドキドキして、涙が止まりませんでした。
深く結びついた魂は、時空を超え再び寄り添うのか。運命の相手は最初から決まっているのか。運命を変えることは不可能なのか。
スピリチュアルな側面も含めつつ、命題が突きつけられます。
意思があれば何でもできるし、赦すことの素晴らしさを感じずにはいられない作品です。
人生は捨てたものじゃないと実感できます。
今、何かに悩んでいる人にぜひ見ていただきたい作品です。少し、心が軽くなるハズ。
(小泉 浩子)