カイジ2~人生奪回ゲーム~ - 樺沢 紫苑

最後まで想定不能なストーリー展開。ドンデン返しの連続など、後半30分の展開は目が離せません。(点数 80点)


(C)福本伸行・講談社/2011「カイジ2」製作委員会

 『カイジ2~人生奪回ゲーム~』、ブログなどの評判が
かんばしくないのであまり期待しないで見ましたが、
期待以上のおもしろさに驚きました。

 おそらくは、原作の熱心なファンほど、
原作との差異が気になって映画を楽しめないでしょう。

 しかし、原作とは別な「一本の映画」として見れば、
よくできたエンタテイメントと言えるでしょう。

 何より、演技陣が良い。
 利根川を演じる香川照之は圧倒的にうまいし、
生瀬勝久のコミカルな演技も笑いを誘います。

 原作にはない、利根川がカイジの仲間に加わるという
展開もおもしろいです。

 カイジ演じる藤原竜也、前作の演技はダメダメでしたが、
今回は演技に深みが出ていますし、
言葉以外の部分での表現力が明らかにアップしています。

 前回は、「やらされ感」がありましたが、
今回は自由に演じしている感じがしました。

 映画と漫画とのリアリティの温度差。
 これをどう埋めるかが非常に難しいわけですが、
生瀬や香川の演技か、それを丁度良く埋めています。

 最後まで想定不能なストーリー展開。
 ドンデン返しの連続など、後半30分の展開は目が離せません。
 また、映画・前作とのリンクもなかなか良いです。

 もともと原作の漫画がパーフェクトな作品なだけに、
原作と比べれば、つまらなくなるのはしかたがありません。

 私も前作で期待しずきて、大きな「期待はずれ」を経験しただけに、
今回は全く期待せずに見られたのがよかったのでしょう。

 ということで、原作を読んでいない「カイジって誰?」という人に
お薦めしたい映画。ただ、前作を見ておかないと、
主要な人間関係がわからないので、その点はご注意を。

 この映画の中で、私がおもしろいと思ったシーンを一つ。
 難攻不落のパチンコ「沼」に持ち金全てを呑み込まれたカイジ。

 絶望の底にたたきつけられながらも、「ザワザワ」という声とともに、
その瞬間に鋭い観察力を発揮し、「沼」の弱点を発見してしまうシーンです。

『「苦しい」が「楽しい」に変わる本』にも書きましたが、
人間は「苦しい」状況に陥ると、視野狭窄に陥ります。

 「苦しい」ときほど、客観視ができなくなります。
 ですから、「苦しい」ときほど、「客観視」が重要なのです。

 状況観察をしっかりとして、自分を客観的にとらえれば、
「苦しい」から逃れることが可能なのです。

 まさに、この限界状況のカイジは、全てを失いながらも、
「視野狭窄」に陥らず、鋭い「観察眼」で、
状況をブレイクスルーします。

 これは、映画に限ったことではなく、誰でもできるのです。

 「どうしょうもない」「もう終わりだ」と思った瞬間に、
「客観視」する目をなくす人と、そうでない人。

 そこが、ピンチをチャンスに変えられる人の違いと言えるでしょう。

樺沢 紫苑

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