オールド・ボーイ - 前田有一

設定と展開が抜群に面白い(70点)

 土屋ガロンのコミックを韓国が実写映画化し、見事カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した作品。主人公を演じるのは韓国映画界の誇る演技派スターのチェ・ミンシク(『シュリ』の北朝鮮兵など)。

 平凡な暮らしを送っていた主人公(チェ・ミンシク)は、ある日拉致監禁され、なんと15年後に釈放された。いったいなぜ自分はこんな目にあったのか。男は開放時に持たされたいくらかの金と偶然出会った若い女の助けを得て、執念の追跡を開始する。

 抜群に面白い設定のエンタテイメントの登場だ。あまりに理不尽な15年間の監禁。主人公はその真実を知るために、あらゆる方面から犯人を探し出す。徐々に明らかになっていく真相を観客が知るとき、そこには驚愕のどんでん返しが待っている。

 ……といいつつ、オチはちょいと前から予測がつく。真相発表(?)の演出がじつに大げさな上、見せ方上手なので楽しめるが、そもそもこのオチは日本人より韓国人の方がショックを受けると思われる。

 むしろ映画『オールド・ボーイ』の魅力は、真相にいたるまでの過程の面白さにあると感じる。退屈と無縁のダイナミックなストーリー展開は、「面白い映画」を探している人にぜひオススメしたくなるものだ。本作は、飽きずに2時間スクリーンにくぎ付けになれること確実な映画だ。

 韓国映画らしく細部が大味だったりもするが、これはまあしょうがない。例をあげると、一番マヌケなのは主人公その人で、本当はコイツ、自分の映画を面白くしたがってるだけなんじゃないかと思うほどバカな行動をとり、話をややこしくしてくれる。真相を知った後の行動など、観客席から苦笑が漏れたほどアホらしい演技を見ることができる。この辺のところを日本の原作ファンがどう評価するかは微妙なところ。

 私の場合は、原作を知る前にこの映画を見てストーリーを純粋に楽しむことができた。おそらく『オールド・ボーイ』は、ほとんどの人にとって非常に面白い映画であることは間違いない。あとは、原作を先に読むか、映画を先にするかの選択だけだ。

前田有一

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