オーシャンズ13 - 福本次郎

◆ラスベガスを舞台にした犯罪映画でありながら暴力とは無縁なストーリーが非常に洗練されている。どこまでもクールなオーシャンズの行動様式は「ちょい不良オヤジ」など足元にも及ばない「粋な中年男」の真髄を見せてくれる。(80点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 スタイリッシュな映像、アイデアと行動力とチームワークで勝負する主人公たち、そしてなによりラスベガスという街を舞台にした犯罪映画でありながら暴力やセックスとは無縁なストーリーが非常に洗練されている。大掛かりな仕掛けやCG、火薬や銃撃といった現代のハリウッド的なものより、スターがそれぞれの主部範囲をきちんと守り個性を演じ分けるという、古い時代のハリウッドを感じさせる映画の持つ雰囲気が心地よい。そして何より、今回の犯罪計画が金儲け至上主義の男に破滅させられた仲間の復讐という、男同士の友情が動機になっていところが心をくすぐる。

 強欲なホテル経営者・バンクにすべてを奪われて心臓発作を起こしてしまったルーベンの無念を晴らそうと、ダニーは三たび仲間を集める。今回はバンクの新ホテルがオープンする日にカジノの客に大勝ちさせホテルを破産させた上、ホテルの評判を落とし、仕上げにバンクのダイヤモンドを盗むという作戦。

 超ハイテク武装されたカジノでいかに見破られずイカサマを働くか。準備段階から綿密に練られ、従業員の買収から地震を起こすための大型掘削機、果てはサイコロの製造工場にまで細工する。大掛かりな計画は困難を伴うものなのに、チームはみなゲームを楽しむかのように生き生きしている。資金不足に陥ったとき、かつての仇敵・ベネディクトに頭を下げにいくというアイデアには思わずひざを打った。超えるべきハードルが高いほどリスクは大きいが、征服したときの喜びも比例するという冒険者のスピリットがスクリーンからほとばしり、胸躍る期待感が高まっていく。

 流した汗やなめた辛酸は決して表に出さないという男の美学。ミッションが終わった後の寂しそうな解散シーン。そして迷惑をかけたホテル評論家に補償するラスト。どこまでもクールな彼らの行動様式は「ちょいワルオヤジ」など足元にも及ばない、「粋な中年男」の真髄を見せてくれる。

福本次郎

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