70年代コミューンに興味のある人へ(40点)
舞台は70年代。既存の家族制度から離れて同性愛やフリーセックスを実践していた「コミューン」(生活共同体)を舞台にしたドラマ。本国スウェーデンで、記録的な大ヒットとなった。
内容は、『普通』の家族から逃げ出した母と子供たちが、『普通でない』コミューンでの共同生活を通して、成長していくという物語。短いショットを多数貼り合わせたような編集と、手持ちカメラを多用した撮影で、この雑多な『家族』の中に鑑賞者も入り込んだ気分になるよう作ってある。
これがもしアメリカ映画であれば、健全なコメディにしそうなところであるが、そこはさすがにヨーロッパ映画。大人向けの生真面目なドラマとして、成立させている。コミューンの特徴のひとつであるフリーセックスについても、避けずに堂々と描いている。
ただ、話の構成が平凡なため、主な見所がコミューンやその周辺の70年代文化の再現部分にとどまっているのはもったいない。そうしたものに興味が無い人でも楽しめるかというと、ちょっと難しいだろう。そのあたりを理解した上で、鑑賞するか否かを決めれば間違いは無い。
(前田有一)