エンター・ザ・ボイド - 佐々木貴之

エンター・ザ・ボイド

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◆ノエ監督作品は一般ウケするようなモノではないことは最初からわかりきっているから、本作も風変わりな映像や作風を好む方にはオススメできる(60点)

 フランス映画界の異端児ギャスパー・ノエが日本=東京を舞台にしたブッ飛び作品を撮った!! しかも、143分にも及ぶ力作だ!!

 東京にやって来たオスカー(ナサニエル・ブラウン)はまともな職にも就かず、ドラッグのディーラーで稼ぎ、自身もドラッグに溺れた生活を送っている。オスカーは最愛の妹リンダ(パス・デ・ラ・ウェルタ)を東京に呼び寄せたが、彼女は夜の街で知り合ったマリオ(丹野雅仁)のお誘いでストリッパーとして働いていた。ある夜、オスカーは友人ビクター(オリー・アレクサンダー)に頼まれたドラッグを持ってバー“VOID”に入店するが、そこに突然警官隊が駆けつけ、オスカーは店内のトイレに隠れるが、撃たれてしまう。オスカーの意識は薄れ、その魂は肉体から離脱してしまう。リンダと離れたくないと思うオスカーの魂は、その姿を追って夜の街を浮遊し始めるが……。

 ストーリーよりもドラッグをテーマにした作品ならではのサイケデリックな映像、アンダーグラウンドを全面に押し出した世界観、快楽的ムード満載の性描写を魅せつけることに重点が置かれている。

 ノエ監督ならではの悪趣味なシーンもチラホラ観られる。中でもオスカーがVOIDの店内トイレに隠れるシーンでは、汚物がこびり付いた和式便器の中を的確に捉えており、これが観る者に不快感を存分に味わわせる。他にもリンダの堕胎シーンでは、摘出された胎児の姿も観られる。これらのシーンには間違いなくドン引きしてしまうが、その分強く印象に残ってしまう。

 ラストシーンではラブホにて複数のカップルの性行為をこれでもかと言わんばかりに魅せつけてくれる。性行為を怪しげかつ恍惚感を醸し出して描き切っている。

 本作にて確立されたマジックマッシュルーム3Dという新たな映像感覚は、観る者にドラッグによるトリップ気分を満喫させてくれる。

 ノエ監督作品は一般ウケするようなモノではないことは最初からわかりきっているから、本作も風変わりな映像や作風を好む方にはオススメできる。また、ヘンなモノ観たさという好奇心に駆られておためし感覚で挑んでみても良いかもだ。

 それにしてもこの内容で143分はチョイとキツい。その上、オープニングのタイトルバックから目をチカチカさせられ、その後も時折このような映像が観られるため、目をやられてしまい、結構疲れさせられる。

佐々木貴之

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