エンジェル ウォーズ - 樺沢 紫苑

単純明快、痛快ではないが、今までのアクション映画のパターンにははまらないひねりの効いたアクション映画として、かなり楽しめた。(点数 70点)


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映画は監督の個性が現れる。 

とキッパリ言い切りたいところだが、誰が撮っても同じような没個性的に映画が少なくない。

リメイクや有名小説、漫画などの原作の映画化と手堅い成功を狙う路線の作品が多いせいだろうか・・・。

そんな中、ザック・スナイダー監督は、個性的という意味で、注目している。

『300<スリーハンドレッド>』『ウォッチメン』といった、記憶に残る作品を監督しているからだ。

それぞれ、グラフィック・ノベル、アメリカン・コミックの原作作品でありながら、激しいヴァイオレンスとアクション、エンタメではギリギリの残酷さなど、あまたあるアクション映画の中で、キラリと輝く何かがある。

しかしながら、『300<スリーハンドレッド>』では、あまりにも飛び散る血しぶ量の多さから、「おもしろいから見たほうがいい」と公言しづらい危なさがあった。

そして、彼の3本目の監督作『エンジェル ウォーズ』。
この作品は、ザック・スナイダー監督自身が、原案、脚本を手がけているから、彼が本当に作りたかった映画、と言えるだろう。

愛する者を全て奪われたベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、精神科の施設に入れられる。
その暗い現実から逃避するための空想の世界(?)で、自由を求めて戦うことになる・・・。
とあらすじを説明しても、なんだかよくわからない。

ヒネリの効いたストーリーは、最後まで展開が読めない。
空想世界なものだから、ファンタジー、戦争映画、SF映画といろいろな世界で、全く異なる戦いを繰り広げられるのが、なかなかおもしろい。

スナイダー監督が撮りたい映像を全部詰め込んだ宝箱的な作品になっていて、この「やりたい放題」感が非常に痛快だ。

とはいっても、映画全体を通すと、決して「痛快」「爽快」とはいかないところが、スナイダー監督のカラーなのかもしれない。

日本のアニメやゲームの影響なども少なからぬ、受けているようだ。 

興味深いのは、ベイビードールは敵を殺しまくるが、その敵というのは、ゾンビであったり、ロボットであり、オーガやドラゴンだったりと、人間ではない・・・というところ。

『300<スリーハンドレッド>』について、映画自体はおもしろいのに「血しぶきがひどすぎる」と私は批評したと思うが、おそらくそうした残酷描写に関しての批判やバッシングが結構あったのではないだろうか。

今回は、「血しぶき」は封印されているので、その点は安心して見られる。
ただ、直接的な残酷描写はないものの、間接的な残酷さ、心理的に残酷さはかなり見られていて、そのギリギリの「危なさ」「どぎつさ」が
スナイダー作品の魅力なのかもしれない。

単純明快、痛快ではないが、今までのアクション映画のパターンにははまらないひねりの効いたアクション映画として、かなり楽しめた。

追伸 精神病院の描写が少々行き過ぎている気はするが、まあフィクションということで・・・。

樺沢 紫苑

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