全米No.1コメディ:スティーブ・カレル主演(30点)
2003年にジム・キャリー(Jim Carrey)主演で『Bruce ALMIGHTY(邦題:ブルース・オールマイティ)』というコメディ映画が全米で大ヒットした。モーガン・フリーマン(Morgan Freeman)扮する神が、ジム・キャリー扮するアメリカはニューヨーク州バッファローのローカルテレビ局でレポーターとして働くブルースに神の力を与え、そのブルースが大騒動を繰り広げるというストーリーだった。わたしはなんとなくこの作品を映画館で観たのだが、妙な笑いにはまってしまい好きになった。スティーブ・カレル(Steve Carell)扮するブルースのライバル、エヴァン・バクスターの原稿読みのシーンはいつ観ても堪えきれず笑ってしまう。
そのエヴァン・バクスターが主人公の映画『エバン・オールマイティー』が2007年夏に公開になった。主演はもちろん『ブルース・オールマイティ』でエヴァンを演じたスティーブ・カレル。彼は2005年に全米公開されて話題を呼んだ『The 40-Year-Old Virgin(邦題:40歳の童貞男)』に主演しブレイク。オファーの絶えない俳優に成長した。この作品の監督も『ナッティ・プロフェッサー』、『ライアー・ライアー』で有名なトム・シャドヤックが『ブルース・オールマイティ』同様続投している。そして神はもちろんモーガン・フリーマンが演じている。
バッファローのローカルテレビ局でアンカーマンとして人気を博したエヴァン・バクスターが連邦議会議員として当選し、アンカーマンを引退するところからストーリーは始まる。政治家として新しく人生をスタートさせたエヴァンは一戸建ての素敵な家をペンシルバニア州との州境に近いヴァージニア州の北に位置する郊外に買い、家族を連れて引っ越す。何もかもが順調に行っており、その事に感謝し、神に祈りを捧げるエヴァン。そしてそんなエヴァンのもとをあの神が訪れる。神は彼にある使命を下す。それは家の隣にある広大な敷地の中に巨大な箱船を建造する事。そんな事には耳を貸さないエヴァンだが、これを機に彼の身の回りでは変なことが起こり始める。髭を剃っても剃っても瞬時にまた生えるし、髪の毛も急に伸び始める。また、つがいの動物達がどこからともなく現れ、エヴァンに付きまとう。この一連の奇妙な出来事は何なのか?一体箱船を造れというのはどういう意味があるのか?
『ブルース・オールマイティ』のエヴァン・バクスターがツボにハマっただけに非常に期待していたのだが、正直『エバン・オールマイティー』は前者程は面白くはなかった。もちろんスティーブ・カレルは腕白なコメディアンで面白いのだが、この映画はどちらかというと抱腹絶倒コメディというよりは、ファミリー向け感動映画の枠に収まるのではないだろうか。聖書を基にした映画のアイデアはとても興味深い物であるにもかかわらず、どこか笑いに関しては物足りなさを感じずにはいられなかった。登場する動物もヴァージニア州に生息する動物なら話しは分かるのだが、どうして象やキリンが出てくるのか分からない不可解な点も少なくなかった。辻褄がが合わないのは放置か。。。確かに今回は動物達がたくさん登場するので、人間には制御不可な笑いどころがあって楽しめるが。
『エバン・オールマイティー』のエヴァンは『ブルース・オールマイティ』からのある1つのキャラクターで、4年を経て演じた俳優も成長し、このキャラが主役に躍り出た。だから『?ALMIGHTY』シリーズで、次は映画の中の誰が主役になるのか興味が湧くところだ。今、映画の中に出てきたキャラクターを思い出してみても、あまりパッとするキャラが思い当たらないが、数年間のうちに出演していた俳優のうち誰かがスティーブ・カレルの様にブレイクするかもしれないし、これはいろいろと可能性を秘めたシリーズである。ただ今回の『エバン・オールマイティー』は観終わって速攻で「イマイチ」と太鼓判を押したくなる作品だった。子供ウケはするかもしれない。
(岡本太陽)