エクトプラズム 怨霊の棲む家 - 小梶勝男

◆ドキュメンタリー風かと思ったら普通のホラー映画だった。派手な見せ場は楽しめるが、怖くはない。ただ、エクトプラズムを吐く場面だけは異様な迫力があった(66点)

 テレビのドキュメンタリー番組で放映された実話が基だというから、「フォース・カインド」(2009)や「パラノーマル・アクティビティ」(2007)のようなドキュメンタリー・タッチの作品だと思っていた。冒頭に、「事実に基づく」とテロップが出るし、テレビカメラに向かってバージニア・マドセンが話す場面から物語が始まるのが、「フォース・カインド」のような仕掛けを思わせる。さらに、「フォース・カインド」に出演していたイライアス・コーティアスも重要な役で出ているのである。

 しかし、ドキュメンタリー風なのは冒頭だけで、中身は様々な過去のホラーを連想させる、ごく普通のホラー映画だった。どう見ても実話には見えない。怖くはないが、派手な見せ場はたくさんあって、まずは楽しめる。

 1987年。キャンベル一家はコネチカットの古い家に引っ越す。息子(カイル・ガルナー)の癌治療のため、病院に近い場所に住む必要があったからだ。だが、その家には不気味な過去があった。

 息子は特殊な癌治療を受けていて、その副作用として幻覚症状が出るかも知れないことが予め示される。最初は様々な怪奇現象が、周囲には癌治療による幻覚と思われてしまう。周囲に理解されないばかりか、自分でも幻覚ではないか、と疑ってしまうところが怖い。この辺りはなかなか巧みだ。癌の息子を持った一家の苦しみも丁寧に描かれている。

 だが、肝心の怪奇現象は、大きな音とともに突然、気味悪いものがバーンと出てくる類で、驚くけれども怖くはない。死体の瞼を切ったり、焼死体がよみがえって迫ってきたり、降霊術が描かれたり、不気味な場面はいろいろあるのだが、それが怖さにつながっていかないのだ。

 ホラー作品を数多く手がける脚本家・小中千昭がどうすれば映画で恐怖を感じさせることが出来るかを検証して「小中理論」を作った。恐怖とは不条理であり、説明や理由をつけると怖くなくなってしまうというものだ。だが、本作は小中理論がやってはいけないという部分をやってしまっている。物語は「不条理」に理屈をつけようとして迷走するのである。キャンベル一家が体験する怪奇現象によって、呪われた家の「過去」を説明しようとするから、怪奇が理屈っぽくて不条理でなくなっている。

 また、落合正幸監督はハリウッドでホラー「シャッター」(2008)を撮ったとき、日本と米国での幽霊に対する怖さの違いに悩んだという。日本ではただ佇む幽霊で怖いのだが、米国では首を絞めてくるとか、何か具体的な危害を加える幽霊でないと、怖いと思ってもらえないということだ。本作の幽霊は過去の出来事や気味悪い映像をただ見せるだけで、具体的な危害はなかなか与えない。その意味では日本の幽霊に近いのだが、余りにもはっきりと姿を現すところが幽霊らしくない。幽霊に関する考え方がどっちつかずなのだ。

 要は監督のピーター・コーンウェルが、ホラーを今ひとつ分かっていないのだろう。ただ、怖くなくても驚かされるのは楽しいし、美人が入浴中に霊に襲われるちょっとエロチックな場面もあって、見ていて飽きはしなかった。

 凄い場面もある。エクトプラズムのシーンだ。霊が実体化したもので、霊媒などが口から吐くとされていて、有名な写真もある。だが、本作のエクトプラズムは、これまで心霊雑誌の写真などで見てきたものとは違い、斬新かつ異様な表現で、迫力に満ちていた。「コネチカットの幽霊屋敷」という原題にもかかわらず、日本での題名を「エクトプラズム」とした気持ちはよく分かる。

小梶勝男

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