リアルで血生臭い戦闘シーンは迫力たっぷり(70点)
ラブストーリーのイメージのピーター・チャン監督の映画とは思えないほど、骨太で男っぽい作品だ。19世紀、内乱状態の中国で、義兄弟の契り“投名状の誓い”を結んだ男たちの、友情と裏切りのドラマが展開する。ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武という豪華スターの競演だが、アクションよりも複雑にからみあう人間ドラマが中心。3人の信念、野心、嫉妬、愛などの悲痛な思いが、すべて清朝の重臣たちのコマとして利用され、友情と絆が壊れていくのが哀しい。実話に基づくが、権力志向のパン将軍と元盗賊のアルフの間で揺れる純粋なウーヤンの視点が、物語にロマンと悲哀を加えている。名手ジェット・リーのアクションの見せ場は少ないが、その分、彼の確かな演技力が確認できる。ワイヤーアクションに頼らない、リアルで血生臭い戦闘シーンは迫力たっぷりだ。
(渡まち子)