ウィンターズ・ボーン - 福本次郎

17歳の少女とは思えないほど感情を抑え現実に対処しようとするリーの強さがかえって痛々しい。(点数 70点)


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文明の喧騒や繁栄から忘れられた山間部に住む人々は、この世に希望
などというものがあることすら知らずに暮らしている。貧困と諦観、
それでもヒロインはありったけの勇気を振り絞り逆境に立ち向かう。
映画は、保釈中に行方をくらました父を探す少女が、地域を支配する
見えない掟と大人たちの妨害を受けながらも、何が起きたのかを探り
真実を知っていく姿を描く。どんな状況でも卑屈にならず、困難に対
して挑みかかるような彼女の視線には命がけで家族を守る覚悟が宿る。

【ネタバレ注意】

情緒不安定の母と幼い弟妹の面倒をひとりで見ているリーは、逃亡中
の父に裁判を受けさせるために消息を追う。しかし村人の口は固く、
手掛かりを知る人物・サンプを訪ねるが門前払いされる。

父は麻薬ディーラーで、逮捕されたときに口を割ったせいで制裁を受
けたのだろう。大人はみな気付いているが、誰もリーに教えようとし
ないばかりかリーを真相から遠ざけようとする。だが、父を見つけな
いと家を追い出されるリーは我慢強く大人たちに協力を求めていく。

リーは父への気持ちを口に出さないが、彼女の脳裏にも少しは愛され
た記憶が残っているのか、あちこちで聞かされる父の悪口に胸を痛め
ている様子。妻子を見捨てたどうしようもない男でも父親、でもそん
な思いよりも迫りくる立ち退き期限のほうが切実で、リーは感傷に浸
っている暇はない。そのあたり、17歳の少女とは思えないほど感情を
抑え現実に対処しようとするリーの強さがかえって痛々しい。

福本次郎

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