観客が嫌悪感を覚え、ハッと息をのみ、背筋を凍らせるにはどういう映像とサウンドが効果的かをよく知っている演出だ。(点数 50点)
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仰々しいタイトルバックと神経を逆なでする弦楽器の高音という古典
スリラー的オープニングは、懐かしさが湧くほどスタイリッシュ。観
客が嫌悪感を覚え、ハッと息をのみ、背筋を凍らせるにはどういう映
像とサウンドが効果的かをよく知っている演出だ。映画はそんな、悪
意に目を付けられた人々の恐怖を描く。音や気配だけでなく、あえて
姿をさらすことで怨念の強さを表現する悪霊たちのおどろおどろしさ、
ダースモール顔をした悪魔、彼らを追い払おうとする霊媒師。それら
のキャラクターはありふれているが、魂が抜けた肉体を悪霊が奪い合
う発想が新しい。
【ネタバレ注意】
新居に引っ越したジョシュとルネ夫婦の身辺に不審音が聞こえ始める。
ある日、長男のダルトンが屋根裏部屋で梯子から落ちて昏睡状態にな
り、その後また引っ越しをする。
引っ越し先でも怪現象は収まらず、ルネはより具体的な人の形をした
「何か」を目撃する。そこでゴーストバスターズを呼ぶのだが、彼ら
の装備が意外に近代的なのが笑わせてくれる。
悪霊がドアを動かしたり音を出したりと物理的にエネルギーを発して
いるわけだから、計器に何らかの反応があるのは当然で、それを計測
して分析、心霊現象を数値でとらえ科学の力で解決法を探るのは非常
に合理的。だが、彼らは同時に胡散臭さも漂わせているところがリア
ルだった。
(福本次郎)