イエロー・ハンカチーフ - 渡まち子

◆オリジナルや原作を知る観客にとっては、結果は分かっているのだが、それでも何ともいえない幸福感がじんわりと胸に広がる(60点)

 日本映画「幸福の黄色いハンカチ」のハリウッド・リメイクだが、欧米で“黄色の布”と言えば、それは「Tie a Yellow Ribbon」の歌を連想し、兵士の無事と帰還を祈るというもの。その意味で黄色の布のモチーフは、日本とアメリカでは少し受け取り方が違うのかもしれない。6年の刑期を終えて出所した中年の男ブレッド。出迎えもなく一人で街の食堂でビールを飲む。偶然出会った若い娘マーティーンと、変わり者の青年ゴーディと共に、元妻メイが暮らすニューオリンズを目指す旅に出ることに。やがてブレッドは自分とメイとの間に起こった不幸な出来事と、ある約束を話し始めた…。

 このリメイクは、NY生まれのピート・ハミルが生み出した物語が、北海道を経由して米国南部に旅をするようなものだろうか。主人公ブレッドと妻メイはとても孤独な人間だ。そんな寂しい魂が寄り添ったときに、二人を試すかのように悲しい出来事が起こる。子供を亡くしたこと、偶然の喧嘩から思いがけない殺人が起きてしまうこと。そんないきさつが、若いカップルを聞き手として静かに語られる。まだ出会ったばかりで人生の苦味も知らないマーティーンとゴーディに、幸福になるための努力を惜しむなと諭すようだ。ブレッドは刑務所からメイに手紙を書くが、そこには、もし自分を待っていてくれるのなら黄色いハンカチを家に飾ってくれと書いてある。オリジナルや原作を知る観客にとっては、結果は分かっているのだが、それでも何ともいえない幸福感がじんわりと胸に広がるのは、やはり、黄色の布がはためく場面の映像の持つ力だろう。自分を待っていてくれた。それだけのことがこれほど美しい一編になる。ブレッドとメイの中年カップルの少し疲れた風情はオリジナルに通じる味わいだが、マーティーンとゴードンの若いカップルの描写は、オリジナルの武田鉄也と桃井かおりの少々クドいやりとりと違い、現代らしくクールで淡々としているのが好ましかった。

渡まち子

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