アート・オブ・ウォー2 - 小梶勝男

◆ウェズリー・スナイプス主演のB級アクション。すべてが「それなり」であるが、「それなり」には楽しめる(65点)

 「おつな味」という表現がある。「コンビニ食と脳科学」(加藤直美)によると、甲乙丙丁の「乙」で、一番(甲)ではないがそれなりに美味しい、という意味だそうだ。今の言葉で言えば「B級グルメ」ではないか、と書かれている。

 料理ではなく、映画の話。本作こそ「おつな映画」というのにピッタリではないか。

 いわゆるB級アクション映画であることは間違いない。もっとも、「B級」は元々、予算の規模を示す言葉だった。作品の出来は関係ないのだが、今ではむしろ出来の方を意味している。この場合は後者で、B級グルメと同様、高級ではない庶民の味の「B級」だ。

 B級だからといって、不味いわけではない。「ブレイド」シリーズのころに比べると、やや落ち目気味のウェズリー・スナイプスが主演で、2000年のヒット作の続編。監督は「ザ・シューター」や「ダニエル悪魔の赤ちゃん」のジョセフ・ラスナック。他にはほとんど名前の知られたスタッフ、キャストが見当たらない。それでも、というか、だからこそ、B級ならではの、実に「おつな味」がする。

 元特殊諜報部員の主人公が、格闘技を教わった恩師の死をきっかけに、最新兵器売買に関連する武器会社や政治家らの陰謀に巻き込まれていくストーリー。

 空手5段、テコンドー3段というスナイプスは、見所のアクション場面でそれなりに動いてはいるものの、カットは細かく割られ、ごまかしも感じられる。いつも通りほとんど無表情で、ある意味、演技を放棄しているようにも見える。新兵器のミサイル砲が炸裂する場面のCGも描写が中途半端で、迫力は今ひとつだ。

 それでも、許せるのである。冒頭、クンフーの型を繰り返した後、タオルをヌンチャクみたいに振り回しながら歩くスナイプスを見ただけで、ああ、おつだなあと思う。

 それに、映画自体にスナイプス中心主義が貫かれ、他の登場人物には余り意味がないため、この人は死なないだろう、と思っていた人物があっさりと死んでいくので油断が出来ない。ラストにちょっとしたどんでん返しもあって、意外に楽しめる。

 スナイプスやセガールのように、それなりにアクション映画の歴史を作ってこなくては、このおつな味は出せない。本作の出来はスナイプス映画としては「普通」としか言いようがないが、それで十分という気がする。天然の出汁よりも、化学調味料のスープが飲みたい時だってあるのだ。

小梶勝男

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