アート・オブ・ウォー2 - 福本次郎

裏切りと欺瞞、誰も信じることができない諜報の世界で生きてきた男が、傷ついた心をいつまでも引きずっている。低予算ながら、複雑に入り組んだ人間相関図と意外な展開は単純な暴力に頼るだけのB級映画とは一線を画している。(40点)

アート・オブ・ウォー2

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 陰影の濃い映像は主人公の心の闇を投影しているのだろう。裏切りと欺瞞、誰も信じることができない諜報の世界で生きてきた男が、その傷ついた心をいつまでも引きずっている。そして再び現実に引き戻されたとき、彼の眠ったいた本能が目覚め、銃弾と鉄拳で悪党どもの陰謀を打ち砕いていく。明らかに低予算なのだが、複雑に入り組んだ人物相関図と意外な展開は単純な暴力に頼るだけのB級映画とは一線を画している。ただ、それを洗練されたエンタテインメントに昇華させるだけの力量がこの作品の監督には欠けていた。

 戦争映画のアドバイザーを務めるショーは、師匠の葬儀で喪主である娘のメリナに父の死に自分の過去が関係していると告げられる。そんなとき主演俳優・ギャレットのヨットに招かれたショーはギャレットを襲う殺し屋を撃退し、殺し屋を放った組織についての調査を依頼される。

 事件の裏には高性能の新兵器を開発した武器商人と、彼と癒着する議員と反対派の議員、政府機関まで巻き込んで大がかりなアクションが展開される。しかし、ウェズリー・スナイプスが鍛え上げた格闘技の真髄を見せてくれるのかと思いきや、短いカットをつなぐ編集法で彼の動きはほとんど把握できない。もはやスナイプスも激しい動きをこなせないほど衰えてしまったのだろうか。「ボーン」シリーズやニュー「007」などヒーローが自らの肉体を酷使し、そのリアリティを追求するスパイ活劇が主流のいま、この作品におけるスナイプスの運動量の少なさは非常に物足りない。

 また、時々武術修業時代のシーンが挿入されるのだが、師匠から学んではずの戦いの哲学「兵法」が実戦に生かされているとは思えない。巨大組織を相手に戦うならば、「敵を知り己れを知らば、百戦して危うからず」をまず実践するべきなのに、むしろ組織の側がショーことを把握している。ならばショーはそれを上回る情報量や奇策で戦わなければならないはずなのに、いつも正面突破するというのは芸がなさすぎる。さらにとってつけたようなどんでん返しは驚きよりもむしろ呆れてしまった。。。

福本次郎

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