アース - 福本次郎

◆北極から南極まで、そこに生きる動物たちの生態を総花的に見せる大パノラマは、生きることの厳しさを通して生命の美しさを訴える。しかし、テーマを強引に地球温暖化に話を持っていく姿勢には、「またか」という白々しさを感じる。(40点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 北極圏に住むホッキョクグマからツンドラ、タイガ、温帯の広葉樹林、熱帯のジャングル、アフリカのサバンナを経て南極海のザトウクジラやペンギンまで、地球の北の端から南の端までそこに生息する動物たちの生態を総花的に見せる大パノラマは、生きることの厳しさを通じて生命の美しさを訴える。しかし、テーマの絞込みが甘く、彼らの姿を通じて何を感じるかは観客の自由なのに、強引に地球温暖化に話を持っていく姿勢には、「またか」という白々しさを覚える。

 このドキュメンタリーでもホッキョクグマは地球温暖化のシンボルだ。氷が少なくなり餌となるアザラシが減少、セイウチを襲うが鋭い牙の返り討ちにあって力尽きる。さまざまなシーンで見られる北極の分かりやすい環境破壊。いまやホッキョクグマはその犠牲者の代表としてマスコミに出まくっているが、逆に言えばホッキョクグマ以外の動物で温暖化の被害を受けた種はどれほどいるのだろうか。南極の氷が解けたとかペンギンが減ったなどという事例は寡聞にして知らないが、少しでもあれば説得力も増すのだが。。。

 熱帯雨林に住む鳥の求愛ダンスはユーモラスで、食料がたっぷりある証拠。飽食になればオスがナンパに励むのは人間と共通しているところが面白い。また全速で走ってもまったく頭がぶれないチーターのフォームや、水場でライオンを蹴散らしていたゾウが夜になるとライオンの集団に襲われる場面、さらにはホオジロザメがオットセイを襲うときに見せる力強いジャンプなど、初めて見る映像も多く、そのような決定的な一瞬をとらえるためにいかに多くの時間が割かれたかがしのばれる。

 紹介する地域は北から順に南下しているのに、映画は最後にまた北極に戻り、とってつけたように2030年には氷が解けてホッキョクグマが絶滅するなどという、非常に低い可能性を確実な将来のように断言する。この作品、撮影に5年をかけているという。つまり2002年以前に企画されていたはず。その当時はまだ環境よりもテロが社会的な関心だったが、出来上がってみたら「地球温暖化」ブーム。時流に乗り商売にしようという魂胆がミエミエだ。

福本次郎

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