◆孤高のデザイナーとしての存在が際立つドキュメンタリー(50点)
ファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニを1年間追ったドキュメンタリー。
一言で言えば、ファッション通信拡大版といったところ。オシャレな音楽や、絵作りもなんだか似ている。あの番組が好きな人なら、それなりに楽しめるだろう。
アルマーニの普段の生活や考え方、どんな交友関係があるのかなどが、わかるようになっておりファッション業界に興味ある方には、とくに楽しめる内容になっている。
シュワルツェネッガーを始めとするセレブたちが続々と出て来るなど、庶民の私からは想像もつかないゴージャスな暮らしぶりが堪能できるが、それを見て出るのは、ため息ばかりである。
ただ、彼は孤独でもある。夏のバカンスには、家族ではなく何10歳も年下の若者の友人を多数連れて行くが、彼の存在は完全に浮いており、どうみても溶け込んでいるようには見えない。
若者連中も、アルマーニ氏のカネを目当てについてきているだけといった感じでやり切れない。別荘自体もなんだか生活感がなく殺伐としている。周りの風景も殺風景でうら寂しい。
私なら、あんな所でバカンスを楽しもうとは思わない。そこだけは、まったく羨ましくならなかった。この場面はこの映画の中で、もっとも大きな収穫であった。
アルマーニは、芸術家というより職人という感じのするオジサンだ。そして彼の言葉は、成功者の常で妙に心に残るものが多い。
(映画ジャッジ)