アルフィー - 前田有一

ややダークなコメディ人間ドラマ(65点)

 66年の同名コメディを、ジュード・ロウ(「コールド・マウンテン」「リプリー」ほか)主演でリメイク。ニューヨークのお洒落な英国人プレーボーイを描いたドラマ。

 自他ともに認めるハンサムなプレイボーイ、アルフィー(J・ロウ)は、小さな会社でリムジンの運転手をしながら、気ままなその日暮らしをしている。彼は人妻やシングルマザーなど、毎日違った“恋人”の家を巡りながら、お気楽な独身生活を謳歌していたつもりだったが……。

 全編ジュード・ロウが、プレイボーイたる自分の気持ちを観客に語りかける方式で映画は進む。前半は、彼も自分自身の生き方を完全肯定しており、プレイボーイのふざけた心理を逐一教えてくれる。不倫を「善行」と呼び(セックスレスを解消してやってるのだから当然だそうだ)、それをとがめる世の中の「常識」の方を嘆いている。

 この前半部分は、多くの男性が心に秘めた本音をぶっちゃけており、私は爆笑しながら見ていたのだが、いっしょにみていた若い女性たちは誰一人クスリとも笑っていなかった……。まあ、あまりに毒が強すぎるということか。カップルで見る男性はご注意を。しゃれになりません。

 そんな憎めない男アルフィーは、後半シャレにならない悲劇に見舞われ、自分の過ちにやっと気づく。そして、徐々に悔い改めて(なかなかそうならないが)いく形になる。どう考えてもアタリマエの事に気づかない後半のアルフィーはどうも馬鹿っぽくていけない。結局単純な教訓ものにおさまっているので、前半腹が立った女性たちも満足であろう。

 ジュード・ロウは笑顔のうそ臭さではスマイリーキクチに負けないくらいの男であるから、こうしたプレイボーイ役はまさにぴったり。とくに、内面が大きな触れ幅で変化していくアルフィーの役柄にはぴったりだ。それを演じきるだけの演技力があるというのがその理由。とても好感が持てる。

 コメディといっても語り掛ける内容は深く、重いもので、お気楽にみられる映画ではない。しかし、ジュード・ロウがじつにいい仕事をしているので、そこには本物の感動があり、映画を見終わってそれなりの満足感を得ることができる。カップルで楽しく見る映画というわけでもないので興行は厳しいだろうが、私は結構気に入っている。

前田有一

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