アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン - 青森 学

正義とは何か、常に本質を問う会話がスリリング(点数 96点)

ウルトロンがアベンジャーズに投げかける問いは常に正義の本質を問うたもの。
ウルトロンが人類を超越した知性であると同時に人間の矛盾を背負っている。
その矛盾に対し破滅によって精算しようとするウルトロンと彼の暴走を阻止しようとするアベンジャーズが人間の二面性を担うコインの裏表なのだ。彼らが発する問いは人間の葛藤そのものを言い表している。
だから観る者の心に響く。

人類を守るはずの人工知能が人類を滅ぼす。

人類に平和をもたらすのは優勝劣敗による淘汰しかないと結論づけるウルトロンの考えは人類にとって脅威だが、このように思考する人間が居るのもまた事実。
アベンジャーズはこのウルトロンの思想を拒絶するのだが、ウルトロンの思想はダーウィニズムの負の面に依拠しており、一方、トニー・スタークは犠牲を伴わない進化を支持している。

どちらも目指すものは同じだが、それを実現するのに取る手段が全く違うのは、事物を観測する立場によって同じ事象でも違って見えるという物事の真理に似ている。

ウルトロンの犯行現場で”PEACE”と壁に血文字で書くメッセージにジョージ・オーウェルの小説『1984』で使用されたビッグ・ブラザーのスローガンを思い出す。”戦争は平和である”。
凄惨な場面に対置する平和を重ねることの無力感、ダブルスピーク。
平和を求めておきながら破壊を止めないというウルトロンの屈折した心理は人間の暗黒面を象徴化したものであり、ウルトロンを一方的に断罪出来ない。
ウルトロンは人間の負の側面を背負っているからである。
ウルトロトンは人類のオルターエゴと言えるだろう。

前作では自己主張を続けるヒーロー達が団結するまでの過程を描いていたのだが、今作では人類の業・正義の本質について鋭く肉薄しており、かつ、

生身の人間であるホーク・アイとブラック・ウィドウにウエットな人間ドラマをあてがう采配がドラマ性により深く寄与している。

マーベルの作品にはアクションばかりが重視されて内容が薄くなりがちなのだが、今作はアクションを支えるテーマ性が秀逸で荒唐無稽になっていない。

まるでギリシャ悲劇のような格調の高さをその台詞から嗅ぎ取ることが出来る。

正義とは何かを問い続けるマーベルコミックに、アメコミの未来に希望を感じた。

ウルトロンは単純な悪では無い。
ウルトロンは粛清による進化を選び、アベンジャーズは緩慢な滅亡を消極的に選択している。
ウルトロンは使命感に燃えて彼にとっての平和を実現しようとしている。
それは、ポル・ポトやスターリンのように、またはビッグ・ブラザーのように。

我々が生きていることは平和との直接的な因果関係は無いとウルトロンはショッキングな問題を提起しているのだ。

万人が同意出来る正義はなく、「正義」という錦の御旗を取り合う抗争でしかない事実を観客に突きつけるのである。

一流の食材がそれぞれの役割を担って和を乱すことなく具(ヒーロー)が調和している。
それはまさに日本人が考案した幕内弁当そのもの。
アベンジャーズは日本人の感性にぴったりと合うのである。

某美食コメンテーターだったらこうコメントしたかもしれない。

「アベンジャーズはヒーロー映画の幕内弁当や!」

青森 学

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