アフロサムライ:レザレクション - 小梶勝男

◆サムライ、ブラックカルチャー、SFの融合が生み出す独特の世界。宮崎駿とは違う、もう一つの「世界標準」の日本アニメ(79点)

 1970年代、ブルース・リーのクンフー映画や「座頭市」「子連れ狼」シリーズ、JJサニー千葉(千葉真一)の東映空手映画などをアメリカで最初に受け入れたのは、グラインドハウスに集まるハーレムの貧しい黒人たち(とタランティーノ)だったという。銃器を使わない生身のアクションやサムライのバイオレンスに満ち満ちた世界は、黒人たちにとって「クール」と映ったようだ。クンフーやサムライ映画とブラックカルチャーは、どこかで通じ合うものがあるのかも知れない。

 本作はバイオレンス時代劇に、アフロ、ヒップホップなどのブラックカルチャー、そしてアンドロイドなどSF的な要素を加えた日本製作のアニメーション「アフロサムライ」(2006)の続編だ。時間も空間も超越して、本来は絶対に融合しないものを融合させた結果、ファンタジックで刺激的な独特の世界が出来上がった。無関係に思われる要素に共通するのは、「カッコいい」という価値観だろうか。

 主人公はアフロヘアで黒人のサムライ。名前も「アフロ」と実に単純だ。剣客として「一番」を示す鉢巻を巡って、アフロやかつての兄弟子、謎の美女らが血で血を洗うストーリー。禁欲的で無口なアフロに代わり、マシンガン・トークの同行者「ニンジャニンジャ」がラッパーのようにしゃべりまくる。アフロは「一番」になるためには善人も悪人も区別なく斬り捨てる。その非情さが復讐を呼び、さらに血を呼んでいく。刀に鎖分銅、さらには火炎放射器、ロケット砲まで、様々な武器での戦いは血飛沫が噴出す残酷さで、凄まじい迫力だ。

 異なるカルチャーの融合で圧巻なのは、ねぷた祭りを背景に、アフロと子連れの浪人が斬り合う場面だ。巨大なねぷたの周りでは、人々がヒップホップに合わせて阿波踊りを踊り狂う。目を瞠るほどのスペクタクルだ。後半、アフロとひょっとこ、能面、獅子舞のアンドロイドたちの戦いも見事。アニメならではの、ダイナミックな映像だった。

 岡崎能士の原作を木崎文智が監督した本作は、今年(2009)、全米の大手ケーブルテレビで放映され、170万人が視聴した。テレビ界のアカデミー賞ともいえるエミー賞の作品賞長編アニメーション番組部門にノミネートされ、美術監督の池田繁美がアニメーション個人部門審査員賞を受賞。日本のアニメとしては初の快挙という。このハイブリッドな魅力は、全米にも認められたのだ。

 アフロとニンジャニンジャの声優は前作に引き続き、本作にほれ込んだサミュエル・L・ジャクソンが担当。他にもルーシー・リュー、マーク・ハミルなど、マニアックな面々が参加している。残酷、非情な内容なので一般向きではないが、宮崎駿とは別の、世界に通じる日本アニメの一つとして、是非見て欲しい。

小梶勝男

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