アジャストメント - 福本次郎

映画は“運命”という命題に“調整局”を名乗る組織を介在させ、運命は決まっているけれど突発的な例外もありうると示唆する。(点数 60点)


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運命とは定められたものなのか、それとも独力で切り開いていくもの
なのか。自分の未来が望まぬ結果に変えられたと知った主人公が、強
靭な意志で本来あるべき道に戻そうとする。彼は愛という感情に支え
られ、そのエネルギーは人知を超越した者たちでさえ翻弄し、心の叫
びに忠実に生きる大切さを訴える。映画は“運命”という命題に“調
整局”を名乗る組織を介在させ、運命は決まっているけれど突発的な
例外もありうると示唆する。

上院議員を目指すデヴィッドは、エリースと出会い意気投合、激しく
キスを交わす。その後ふたりは偶然バスで再会するが、運命の書の記
述に反する出来事と“調整局”に無理矢理別れさせられる。

3年後、政治家としてさらなる飛躍を目指しながらもエリースを忘れら
れないデヴィッドはついに彼女を見つけ、エリースへの思い成就させ
ようとする。しかし、将来の大統領と目されるデヴィッドにとってキ
ャリアのマイナスでしかないと、調整局は妨害を続ける。

これはコンピューターに頼る現代社会のメタファーなのだ。クラウド
に蓄積された膨大な個人情報、そしてそこから予測される消費傾向。
企業がサービス向上に利用している間はよいが、国家がデータベース
を悪用し始めたときに起きるであろう徹底した国民に対する監視と管
理。作品はデヴィッドとエリースの逃避行を擬して、戦わなければ人
生すら権力に操作されれかねない恐怖を描き切っていた。

福本次郎

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