アジャストメント - 樺沢 紫苑

サスペンスでありながら、基本的にはラブストーリーなので女性にも楽しめる。(点数 90点)


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映画『アジャストメント』が、なかなか良かった。

フィリップ・K・ディック原作の短編「調整班」の映画化。
ディックと言えば『ブレードランナー』『トータルリコール』
『マイノリティ・リポート』などで有名だが、
ディック作品にハズレはなしという感じで、
本作も例外ではない。

将来有望な若手議員のデビッド。
選挙に敗れた日に運命的に出会った女性エリースが忘れられない。

デビッドは、偶然にエリースと再開するが、
二人の恋路を何者かが邪魔し続ける。

デビッドの運命を調整しようとする謎の男達の正体は何か?
そして、デビッドとエリースの関係は、成就するのか?

人によって定められた「運命」。
その「運命」は、変えられるのか? 

そして、自分の「選択」が、「運命」に与える影響は?

偶然にも先日見た『ミスター・ノーバディ』と重なるテーマであるが、
実に興味深いテーマである。

『アジャストメント』のストーリーは予測不能。
非常にスリリングで引き込まれるが、
基本的にはラブストーリーになっているので、
感情移入しやすく、純粋にエンタメとして楽しめる。

何者かに監視されている。
何者かに自分の運命が操作されている。
これは、統合失調症の妄想的世界観と重なっている。

ある意味、病的な妄想に意味や裏がある、という
ディック的な世界観は、「精神医学的なあやうさ」と紙一重で、
だからこそ人間存在の本質をつくような深いおもしろさに
つながっているのだろう。

何者かが世界を創り上げて操作している。

これは、『マトリックス』にも通じところがあり、
ドアをくぐり抜けると別世界が広がるところなど、
細かい描写でも『マトリックス』的なものが見受けられた。

物語は、ニューヨークを舞台にしているが、
舞台設定が非常にうまい。

自由の女神、ヤンキース・スタジオ、中華街など、
ニューヨークの名所が、
非常におもしろいかたちで、効果的に使われている。

また、マット・デイモンの演技が良い。
『ヒア アフター』のデイモンも良かったが、
真面目で一本気という彼のイメージが、
良い形でこの作品でも生きている。

そして、デイモン作品ではおなじみの、
全力ダッシュも、心いくまで堪能できる(笑)。

サスペンスでありながら、基本的にはラブストーリーなので
女性にも楽しめる。

ディックの原作「調整班」は短い短編小説だが、
一般受けしやすいよう、うまく映画的に肉付けし
非常にバランスの良い作品に仕上げていると思う。

樺沢 紫苑

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