才能を否定されても芸術家であることを信じて疑わない男と、彼に従う妻。ただなんとなく小器用に絵がうまいというだけで、子どものころからいっこうに成長しない主人公の一貫したスタイルは、ある種の神々しさすらうかがえる。(70点)
どれだけ他人から才能を否定されても芸術家であることを信じて疑わない男と、彼に盲目的に従う妻。愛や美の喜び、不正に対する怒り、別れや喪失の哀しみ、生きるこ楽しさといった感情を強烈に発露したいという欲望があるわけでもなく、ただなんとなく小器用に絵がうまいというだけ。そこには独創性やメッセージ性はなく模倣や通俗の範疇に留まっているのに、本人は至ってマジメなのだ。子どものころからいっこうに成長しない主人公の一貫したスタイルは、ある種の神々しさすらうかがえる。
(福本次郎)