河瀬監督の意気込みは空回り(30点)
大きな賞を受賞した後の作品には冒険が許されるが、河瀬監督の意気込みは空回りしてしまっている。タイを訪れた日本人女性が、偶然迷い込んだ森の中の家でタイ古式マッサージにふれ、心の安らぎを得るというのが物語の大筋。とはいえ映画はいったい何が言いたいのかサッパリ伝わらず、異言語のコミュニケーションの行き違いも作品を混迷させるだけ。癒し系の映画のように見えるが頭を混乱させられてはたまらない。変わりたいと願うヒロインと河瀬監督が重なって見えたので、定地・奈良を離れ、脚本を排除したチャレンジが次のステップへとつながってほしいと願うばかりだ。
(渡まち子)