やさしい嘘と贈り物 - 佐々木貴之

◆明かされた意外な真実に「そうだったのか!!」とひどく驚かされること間違いなし(80点)

 アメリカのある小さな町で孤独な日々を送るスーパー勤務の老人ロバート(マーティン・ランドー)。ある日、彼が職場から帰宅してみると、見ず知らずの美しい老女メアリー(エレン・バースティン)が勝手に上がり込んでいた。二人はお互いに惹かれあい、交際を始めるのだが……。

 24歳の女性ニック・ファクラー監督が手懸けた人間ドラマである本作。前半は、老いたカップルのラブロマンスが描かれ、これが若いカップルの恋愛に近い感覚で描かれている。初デートに心ときめかせ、職場のオーナーであるマイク(マイク・アダムス)や他の同僚たちに相談してみたり鏡に向って挨拶の練習をしたりといったロバートの姿は、恋愛初体験の若者を思わせ、微笑ましい。ソリに乗って雪道を滑るシーンからも若者感覚を思わせる。他にも馬車に乗って夜の一時を楽しむ姿やお洒落な店での食事シーンもロマンティックであり、ピュアな感覚で描かれた恋愛ドラマとして十分に味わい深い。

 中盤以降は、ロバートの認知症を押し出したシリアスな作風に一変し、邦題の“やさしい嘘”が明らかとなっていく。このドンデン返しはサスペンスドラマのテイストが取り入れられており、これがまた面白さをさらに発揮しているのである。明かされた意外な真実に「そうだったのか!!」とひどく驚かされること間違いなしであり、見応えも十分だ。それと同時に悲哀さが観る者の心にグッと感じさせる。

 実に面白く仕上がっているこのドラマは、監督の若い才能が活かされていると言っても良いだろう!!

佐々木貴之

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