インパクトが弱く、優等生のよう(50点)
超多作な堤監督のヒューマン・ドラマは丁寧だがインパクトが弱く、優等生のよう。美しき大女優・吉永小百合が、まだ存命の女性を演じるとあっては、過激な演出もできないというところか。昭和40年代に邪馬台国ブームを巻き起こした盲目の文学者で破天荒な人物・宮崎康平と、彼を支えた妻・和子の絆を描く。物語は、古代史の謎を解く壮大な夢から、いつしか二人で歩むことを慈しむ夫婦愛にギアチェンジ。唐突な卑弥呼コスプレには思わず引いたが、いつもは鼻につく竹中のエキセントリックな芝居が、この物語ではピッタリとフィットしたのは収穫だ。「まぼろしの邪馬台国」オリジナル・サウンドトラック島原の子守歌のメロディが心に残る。
(渡まち子)