ひゃくはち - 福本次郎

がんばるだけでは報われない「才能の壁」という厳しい現実と、それでもわずかなチャンスを目指して努力する球児たちの姿を通じ、努力や信頼で結果を出すよりも羨望と挫折のまま終わる等身大の高校野球の世界を描き切っている。(80点)

 公式戦で活躍するチームメイトをスタンドで見つめる補欠。ベンチ入りできなかった悔しさを隠しながら応援しているフリをして、心の中では早く負けてしまえと思っている。そんな複雑で屈折した心理が非常にリアルだ。がんばるだけでは報われない「才能の壁」という厳しい現実と、それでもわずかなチャンスを目指してバットを振る球児たちの姿を通じ、努力や信頼で結果を出す以前に羨望と挫折のまま終わる等身大の高校野球の世界を描き切っている。なにより「ベンチ入りギリギリ」という補欠選手にスポットを当てた視点がユニークだ。

 甲子園常連校の野球部員、雅人とノブは3年生引退後の秋季大会で背番号をもらうが、偵察要員としてしか使ってもらえない。チームはセンバツ出場が決まるが、その間練習がしたいとノブは甲子園随行を断る。

 目標というには遠すぎるが、あきらめるには早すぎる。雅人とノブにとって、甲子園に出ることよりもまず監督の目に留まって試合に出してもらうことが第一関門。しかし厚い選手層の中、控え選手の座すらおぼつかない。その上やっと掴んだ背番号をセンスのある新入生にあっさり奪われるという皮肉。野球だけではない、勝つことを目的とした集団の中では常に起こりうる事態が、この映画を汗と涙の青春物語から普遍的なテーマを持つドラマに昇華させている。

 新入生の入学でノブはサード転向を宣言、ポジションがかぶる雅人と最後の1席をめぐって争うことになる。親友同士が一転して口も聞かないライバルになり、ベンチ入りするためには友情もチームワークも後回し。チームが勝つよりも、まず自分が生き残ることが先決という2人の姿は、チームスポーツを経験したものならば、一部のスター選手以外は誰もが共感するだろう。そして非情な発表のあとの気まずい雰囲気と、上位選手の不慮の事故による繰上げベンチ入り。そのあたりのノブと雅人のグランドを離れたときの胸中も手に取るように伝わってくる。地区大会で優勝しても、19・20番の2人は甲子園でベンチ入りはできない。それでも野球は大好きだというノブの気持ちがさわやかな後味を残してくれる。

福本次郎

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