近所の商店街で手に入るような材料だけで調理した、素朴だけれど飽きがこないのり弁の懐かしい味と香りがスクリーンを通じて漂ってくる。映画は弁当と同様、ヒロインの自立を通じて下町のクセはあるけれど深く温かい人情を描く。(50点)
お惣菜としてではなく、ご飯そのものにさまざまな具材を混ぜ込み、栄養のバランスを取ろうとするお弁当。表層は海苔が敷き詰められているために見た目の美しさはないが、断面は色も種類も違う混ぜご飯が幾層にも重なってそれぞれのうまみを引き立てあう「小巻風のり弁」は、子役俳優が食べている姿を見ているだけでよだれがわいてくるほど。高級食材を使った豪勢なディナーよりも、近所の商店街で手に入るような材料だけで調理した、素朴だけれど飽きがこない懐かしい味と香りがスクリーンを通じて漂ってくる。映画は弁当と同様、ヒロインの自立を通じて下町のクセはあるけれど深く温かい人情を描く。
(福本次郎)