のだめカンタービレ 最終楽章 後編 - 福本次郎

のだめカンタービレ 最終楽章 後編

© 2010フジテレビ・講談社・アミューズ・東宝・FNS27社

◆音楽家を目指す若者たちは苦悩や葛藤よりも、「クラシックやってます」的な浅薄な選民意識に酔ってお祭り騒ぎを繰り返している。そこには音楽に対して真摯に向き合う姿勢はなく、バラエティ番組のノリではしゃいでいるだけだ。(30点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 パリを中心にプラハにまで足をのばし街の風景をカメラに収め、ショパン、ブラームス、ラヴェルからモーツァルトまで名曲を再現する中で、音楽家を目指す若者の苦悩と葛藤も少しは描かれる。ところがその本質は「クラシックやってます」的な浅薄な選民意識に酔ってお祭り騒ぎを繰り返しているだけ。そこには音楽に対して真摯に向き合う姿勢は微塵もなく、ただ出演者とスタッフがバラエティ番組のノリではしゃいでいるとしか思えない。確かにカネも手間ヒマもかかっている、しかし、そのエネルギーの向かう先が間違ってはいないか。これでは真面目に音楽に取り組んでいる人々に失礼だし、中途半端なギャグも笑えるレベルに達していない。

 千秋と別れたのだめはその後も友人たちとつるんでいたが、千秋がルイと共演するのを知りショックを受ける。そんな時、シュトレーゼマンに声をかけられたのだめは彼のコンサートでデビュー、大絶賛をうけ一躍有名人になる。

 前篇の最後で、のだめは自分の音楽の未熟さに一念発起し、新たな目標に突き進むために千秋との仲に終止符を打ったのではなかったのか。一応アパートから千秋は出ていくが、うだうだと関係は切れていない。さらに、千秋とルイの演奏を聴いた後に千秋のアパートに押しかけ結婚まで申し込む。いくら泥酔しているとはいえ、アホらしくてみていられなかった。

 せっかくシュトレーゼマンに見出されたのにゴミの山に隠れてしまうのだめ。屋根裏の奇妙なテルミン奏者と意気投合して、本当にやりたかったのは「音を楽しむ」ことだと気づく。幼稚園で園児たちにピアノを弾くのだめを千秋が連れ出して「2台のピアノのためのソナタ」を連弾、ここに来てやっと千秋と心を通わせることに成功する。前半は大勢の仲間の小さなエピソードをちりばめて、後半にのだめと千秋のラブストーリーに収斂させる映画の狙いはいいのだが、空中分解寸前の物語を無理矢理まとめたようなラストシーンには脱力感しか覚えなかった。

福本次郎

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