そして父になる - 樺沢 紫苑

究極の決断。あなたならどうする?(点数 90点)


(C)2013「そして父になる」製作委員会

福山雅治主演、カンヌ映画祭審査員賞を受賞した『そして父になる』。
アート系映画としては大ヒットを記録し、
マスコミでも大きく取り上げられました。

ポイントは3つ。
一つ目のポイントは「究極の選択」。

ある日突然、6年育てた自分の子供が、
出産時に取り違えがあったことがわかります。
「親子鑑定」で、自分の子供ではないと確定します。

今の子供をそのまま育てるのか。
それとも、血のつながった子供と交換するのか・・・。
究極の選択が課せられます。

選べるはずもない難しい問題。
しかし、選ばなければいけない。

どちらを選んでも、子供の心にも、親の心にも大きなキズが
残ることは間違いないでしょう。

同じ状況になった場合、「自分ならどうするか?」
これが映画を見ている最中、頭から離れません。

いうなれば、「究極の選択」。
二つの家族は、どんな選択をするのでしょう?

二つ目のポイントは「2人の父親」
この映画には、2人の全く異なる父親が登場します。

ビジネスマンとして成功するが子供と過ごす時間のない
エリートの福山雅治。

金銭的に豊かではないが時間にゆとりがあり
子供と過ごす時間を大切にする自由人のリリー・フランキー。
二つ父親像が、極端なまでに、対称的に描かれます。

この映画は、「取り違え事件」という極端な事例を扱っていますが、
一方では「父親として子供とどう接するのか?」という、
普遍的な問いを投げているのです。

仕事ばかりで子供と過ごせない父親よりも、子供と凧揚げをしたり、
釣りに連れて行く父親の方が良いに決まっています。

しかし、現実的には仕事優先で、子供と遊ぶ時間が持てない、
子供と過ごせない。

福山的な父親が、日本人には多いでしょう。
そんな日本人の父親が抱えるジレンマ、
普遍的な親子の関わりの問題が描かれます。

3つ目のポイントは「タイトル」。
『そして父になる』というタイトルが良いですね。

「そして母になる」では成立しません。
母親とは、子供を生んだ、いや身ごもった瞬間から母親です。

しかし、父親は養育過程で父親になっていく。
実の子であっても、「父親になる」ことは簡単ではありませんが、
この映画では不規則な親子関係を通して「父親のあり方」
というものが真に問われるのです。

とにかく考えさせられる映画です。
考えさせられる映画というのは、いい映画であり
おもしろい映画であるということです。

父親とはどうあるべきか? 
普段、滅多に考えない、この「大切な問題」について、
真剣に考えるチャンスを与えてくれる、貴重な映画です。
是非、御覧ください。

樺沢 紫苑

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