◆これを映画館で見る必要性があるのか(10点)
何しろ配給会社から“ネタバレ禁止命令”が出ているので、どうレビューを書いたらいいのか悩む。核心に触れる部分はすべて秘密なのだ。それが核心と呼べるものかどうかは別として。とりあえず、ストーリーはこんな感じだ。それがストーリーと呼べるものかどうかは別として。メキシコのとある町で暮らす中年プロレスラー“エスカルゴマン”は、若くて過激な対戦相手テキーラ・ジョーとの試合を前に緊張していた。一方で、派手な水玉のパジャマを着た男が、四方を白い壁に囲まれた密室で目を覚ます。ここはどこなのか。なぜ閉じ込められているのか。脱出方法はあるのか。その男は、部屋の壁に無数にある“あるもの” の存在に気付く…。
これ以上は何も語れない。だがこの疑問だけは伝えておきたい。いったいこれを映画館で見る必要性があるのか。松本人志のギャグセンスや多芸多才ぶりは衆目一致するところだが、この人の表現スタイルとして果たして映画が適切なのか。前作「大日本人」よりさらに波紋を呼ぶことが目的ならそれもいいが、衝撃という意味では前作の方が上。大多数の観客を置き去りにする作品を見るのは、一映画ファンとして寂しい思いがする。
(渡まち子)