さんかく - 渡まち子

◆ビミョーな三角関係には、おしゃれなかけひきや真剣な修羅場もなく、ひたすらドンくさい(55点)

 「あぁ、なんてダメな人たちなんだろう」。見ている間に感じるこの軽い嫌悪感が、見終わった後に自らをふりかえる反省材料へと変貌する。この小さな作品が持つ意外なほどの力に驚いてしまう。30歳の百瀬は自信過剰なダメ男で、同棲中の佳代とは倦怠期。二人の住む部屋に佳代の妹で15歳の桃が、夏休みを利用して遊びにくる。天然なのか早熟なのか、奔放な桃に翻弄される百瀬は、すっかり彼女に夢中になるのだが…。

 倦怠期のカップルと小悪魔キャラの妹。三者三様のダメッぷりが相乗効果を起こすこの恋愛物語の“イタい度”は、ただごとではない。まずは、自分の写真を車にプリントしたり、後輩に威張り散らしたり、年下の桃の携帯にメッセージを入れまくったりと、自意識過剰なのに自分に自信がない百瀬というキャラが、かなりイタい。次に、そんな百瀬にぞっこんで彼にフラれてもつきまとう佳代はますますイタい。二人を翻弄する桃は、15歳にして女の色気で男を惑わす術を身に付けているしたたかな少女だが、憧れていた先輩には名前も覚えてもらえず、先輩と彼女がバイトするファミレスを遠くから覗いたりする。要するに、三人ともプチ・ストーカー状態なのだ。彼らに共感しろと言われても戸惑ってしまうのだが、思えば人前でいきがったり、他人のものが羨ましかったりする気持ちは、誰もが少しは経験があるはず。「できたら目をそらしたい、認めたくない」イタい自分を、観客は百瀬と佳代と桃の中に見てしまう。ビミョーな三角関係には、おしゃれなかけひきや真剣な修羅場もなく、ひたすらドンくさい。なるほど実際の恋愛は“映画のように”ドラマチックなものばかりではないのだ。そんな等身大のこのお話は、物語として盛り上がりに欠けるので、夢中にはなれないのだが、見終わってしばらくしてからジワリと効いてくる。そして、ダメ人間の存在を許す作り手の愛情にいつしかホッとしてしまうのだ。AKB48の小野恵令奈が天然子悪魔キャラを好演。ラストの3人の表情は複雑で曖昧なものだが、桃の顔が一番前向きで大人びて見えた。

渡まち子

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