さすらいの女神たち - 福本次郎

ひねくれた思考回路が彼のキャラを際立たせていた。(点数 40点)


(C)Les Films du Poisson – Neue Mediopolis Filmproduktion – ARTE France Cinema – WDR/ARTE – Le Pacte – Film(s)

垂れ気味の巨大な乳房とでっぷりと脂肪がついた腰回り、およそダン
サーのイメージとは程遠い踊り子が贅肉を波打たせながらステージで
体をくねらせる。セクシーとは対極にある彼女のパフォーマンスは、
むしろ“怖いもの見たさ”に近い物珍しさで興味をそそる。それは鍛
え上げた肉体では表現できない人間の“ナマの姿”、食欲に忠実で自
然に年を取った中年女の現実が垣間見える。映画はフランス各地を巡
業して回る米国のバーレスクダンサーと彼女たちのマネージャーの日
常を切り取り、生きるために必要な心のゆとりを見つけ出していく。

【ネタバレ注意】

ル・アーブルでの公演を終えたダンサーたちは次の巡業先に向かう。
マネージャーのジョアキムはダンサーたちのワガママにふりまわされ
ながらも、合間を縫ってパリに住む息子たちに会いに行く。

ジョアキムはかつて辣腕TVプロデューサーだったが、パリに居づらく
なったらしい。パリでの公演を巡って旧知を頼っても、誰も協力して
くれない。おまけに久しぶりに再会した反抗期の息子たちも言うこと
を聞かず、ジョアキムのフラストレーションは高まりっぱなし。

彼はホテルや店にBGMの音量を下げろといちいち文句を付けて回るが、
最初から拒否されて不愉快な思いをするのが分かっているのに、あえ
てクレームを付ける自虐的な行為を繰り返して、まだ自分にも“あき
らめない気持ち”が残っているのを確認する。そのひねくれた思考回
路が彼のキャラを際立たせていた。

福本次郎

【おすすめサイト】