◆もの作り大国ニッポンのアニメとして誇らしい(75点)
こま撮りとは、いわゆるストップモーション・アニメのこと。膨大な時間と労力を要する作業だが、その独特の味わいで多くのファンを獲得している。本作は大人気の「こまねこ」シリーズの待望の第2弾。監督の合田経郎はNHKの人気キャラクター・どーもくんの生みの親で、日本を代表するアニメ作家だ。山の上のおうちにおじいと暮らす、もの作りが大好きな子猫の女の子・こまちゃん。クリスマスに、離れて暮らすパパとママに会えるのを楽しみにしていたこまちゃんは、少し早く届いたクリスマス・プレゼントに大喜びする。だがその中には、二人がクリスマスに帰れないと書かれた手紙も同封されていた。がっかりしたこまちゃんに、友達の発明少年ラジボーがある提案を持ちかける…。
自慢じゃないが、私はこの「こまねこ」の大ファンである。絵本だって持っている。2006年公開の「こま撮りえいが こまねこ」を、2007年からスタートした当ブログ内でいつか紹介しようと思っていたら、いつのまにか第2弾が公開されてしまった。なまけものの自分を反省している。せめて、第2弾をクリスマス・イブに紹介するのは、今度のお話はクリスマスにちなんだものだからだ。離れて暮らす家族の絆や、ヘコんでしまった時に勇気づけてくれる大切な友だち、そしてクリスマスならではのステキな不思議。ハートウォーミングな物語と、キャラクターの愛らしさに、心がほっこりする。人形や衣装を手作りして映画を作るこまちゃんや、得意の機械いじりでオリジナルのそりを作ってしまうラジボーが、創意工夫に富んだもの作りの精神を大切にしているところも、もの作り大国ニッポンのアニメとして誇らしい。セリフは“にゃあにゃあ”だけだが、ちゃんと物語が伝わるのは、すべてのシークエンスに確かな力があるからだ。もっと言えば、ひとコマひとコマに作り手の確かな技術と愛があるからなのである。
(渡まち子)