うさぎドロップ - 福本次郎

映画は、ひとり親の仕事と子育ての両立がいかに気力と体力を使い、消耗させるかを再現する。(点数 60点)


(C)2011「うさぎドロップ」製作委員会

小さな女の子を抱えて満員の通勤電車に乗り、保育園までダッシュす
るサラリーマン。朝は支度にあわただしく、夜は残業のせいで保育園
に最後まで残った彼女に寂しい思いをさせている。映画は、ひとり親
の仕事と子育ての両立がいかに気力と体力を使い、消耗させるかを再
現する。それでも親は“自分を必要としてくれる者”の存在に、実は
癒されてもいるからこそ苦難に耐えられるのだ。

【ネタバレ注意】

死んだ祖父の隠し子・りんを預かるはめになったダイキチは早速保育
園を探すが、時間的困難にぶつかり、会社に異動を申し出る。ふたり
は親密度を増していくが、りんがおねしょをするようになる。

「子供は口でうまく説明できないだけですごく考えている」と、ダイ
キチの同僚が言うが、りんはりんなりにダイキチしか頼れる者がいな
いのを分かっていて、必死でしがみつこうとする。ダイキチもそんな
りんの胸中をくみ取って、彼女が辛くならないように努力する。そう
はいってもまだ6歳、熱を出したり突然姿を消したりもする。比較的素
直なりん一人を育てるのでさえこれほど難儀を極めるのだ。ダイキチ
の孤軍奮闘に一人前の親になることの大変さを改めて思い知らされた。

物語は男の育児という21世紀的な話題に加え、後半では社会的成功を
目指すあまり己の腹を痛めた子を愛さない選択をする母を登場させ、
今ではフツーにいる「イクメン」も20世紀には珍しかった、然るに子
を産み捨てにする母も近い将来珍しくなくなるだろうと予測する。

福本次郎

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