◆美しさに満ち溢れていて観る者を驚愕させる(75点)
有名なカナダ人の写真家エドワード・バーティンスキーが中国を訪れ、産業発展がこの国にもたらせた巨大な影響を写真に捉える姿を記録した環境問題ドキュメンタリー。
スクリーンに映し出されるバーティンスキーの写真の数々。人類が造り出した病的なモノを捉えた写真でさえ、出来栄えは美しさに満ち溢れていて観る者を驚愕させる。
環境問題を訴えると同時に、中国の厳しい労働条件や国民の貧しい生活状況といった部分もしっかりと捉えている。
近年、我が国日本でも中国製の汚染された有害食品問題をはじめとする様々な環境問題がメディアで取り沙汰されている。こんなご時世に本作が公開されるということは、まさにタイムリーである。この機会に中国の経済産業の実態と人類や地球に与えるデメリット等をじっくりと考えてみることをオススメしたい。
上映時間は87分とこれまた手軽にまとめたことも高く評価したい。内容からすれば、これぐらいの時間が丁度相応しい。冒頭の工場内のラインをカメラが平行移動で写した約8分に及ぶ長回し撮影は、本作の特徴の一つであり、これが不思議に感じさせる。
(佐々木貴之)