いぬばか - 小梶勝男

◆スザンヌが初主演したアイドル映画。ゆるい演出が奇妙にスザンヌのキャラクターに合っている。その「ゆるさ」に身をゆだねて楽しむべきだ(60点)

 最近、「スター映画」「アイドル映画」というジャンルが廃れつつある。テレビの歌番組が激減し、いわゆる「お茶の間」が消えてしまい、山口百恵や松田聖子のような、絶対的なアイドルがいなくなったせいだろう。そんな中で、久々の「アイドル映画」を見たような気がした。

 愛犬るぱんを連れて熊本から上京した宮内すぐり(スザンヌ)は、ふとしたことでペットショップ店長の哲平(徳山秀典)と出合い、店で働くことになる。「いぬばか」と呼ばれるほど犬が大好きなすぐりは、様々な騒動を巻き起こしつつも、犬たちと心を通わせていく。

 「月刊ヤングジャンプ」で連載中の桜木雪弥の漫画が原作だが、本作は100パーセント、映画初主演のスザンヌのアイドル映画といっていい。アイドル映画だから、スザンヌは演技をしていない。少なくとも、していないように見える。テレビで見る彼女と全く同じなのだ。それでいいのだろう。スザンヌのファンで犬が好きなら一番いいが、スザンヌのファンというだけでも楽しめると思う。

 しかし、一本の作品として見た場合は、あまり出来がいいとはいえない。冒頭の銀行強盗の場面など、べったりと付けた音楽や、余り意味のない早回しの映像のせいもあって、まるでテレビのコントのようだ。映画になっていないので、ときどきドキュメンタリーのようにさえ見えてしまう。

 原口あきまさ、はなわ、島崎俊郎、浜谷健司らお笑い陣がたくさん出演しているのだが、そのお笑いが編集の間が悪いこともあって、ことごとくスベッている。クライマックスになるはずの犬と人間のダンスシーン「K-9フリースタイル」も、ダイナミックな撮り方が出来ていないので盛り上がらない。

 しかし、何と不思議なことだろうか。見ているうちに、次第に演出の「ゆるさ」に馴れて、そうした違和感はどうでも良くなってくる。最後は劇中の人物たちと同様、スザンヌを応援したくなってくるから、アイドル映画というのは面白い。スザンヌのタレントとしてのイメージと、ゆるい演出が、見事にマッチしているからだろう。

 最近は母親役ばかりを演じ、「日本の母親」のイメージが定着している宮崎美子が、本作でも主人公の母親役で出演している。「ふつつかな娘をよろしくお願いします」と言うところを、「ふしだらな娘を・・・・」と言ってしまうなど、やたらと言葉を言い間違えるキャラクターが可笑しかった。スザンヌの「おバカキャラ」を宮崎美子が引き継いでいるのだ。その分、スザンヌ自身のおバカ度が下がってしまったようにも見えるが、実際には映画全体がスザンヌ・ワールドと化しているだろう。スザンヌのキャラクターが「山形スクリーム」の竹中直人のように、作品全体を「自分色」に染めてしまっているとも言える。

 ペットショップの話だから、犬はたくさん出てきて、もちろん可愛い。突っ込みどころだらけのストーリーも、映画のゆるさに身をゆだねてしまえば、気にならなくなる。スザンヌが嫌い、という人にはお勧め出来ないが、久々のアイドル映画は結構楽しめた。

小梶勝男

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