ある海辺の詩人-小さなヴェニスで- - 小泉浩子

最も美しいイタリア映画と評された、出会いのすばらしさを描いた名作です!(点数 90点)


(C)2011 Jolefilm S.r.l.- Aternam Films S.a.r.l – ARTE France Cinema

4月は、新しい出会いの季節。わくわくドキドキしてしまいますね。

出会いのすばらしさを再認識させてくれる珠玉のラブストーリーです。

「小さなヴェニス」と呼ばれるラグーナ(潟)に浮かぶ漁師町・キオッジャ。

中世さながらの建物の中、シュン・リー(チャオ・タオ)は、国に残した8歳の息子を呼び寄せるため、小さな酒場「オステリア」で働いていました。

語呂合わせが得意なことから、「詩人」と呼ばれる常連客のペーピ(ラデ・シェルベッジア)と出会い、異国人ゆえの互いの孤独を慰め合うようになりますが……。

出会うはずのないふたりが出会い、美しい詩を通し、互いの孤独を癒していく。美しくはかない「出会いと別れ」の物語です。

2012年イタリア・アカデミー賞(ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞)、2011年ヴェネチア国際映画祭FEDIC賞をはじめ、世界各国で数多くの映画賞を受賞しました。

ふたりの心が少しずつ、寄り添っていくのを観ていると、こちらの胸にもぽっと灯りがともってきます。互いに、自分の国の言葉ではなく、共通言語として「外国語」を使い、丁寧に意志を通じさせていくのです。

美しい風景を背に、淡々と紡がれていくふたりの想いが、まるで一幅の絵画のよう。

シュン・リーの故郷には、川面に燈明を浮かべ、屈原さまよう魂を偲ぶ祭りがあります。その話を聞いたペーピが、潮が満ちて海水に浸ったオステリアで、燈明に見立てたろうそくを浮かべるシーンのなんと、美しいこと!

水と炎。相反するふたつのものが、何度も表現され、ラストシーンでも鮮烈な印象を与えます。

たとえ、別れてしまっても、出会った喜びは失われない。だから、出会いを大切にして、別れを必要以上におそれなくてもいい。

今春、新しい環境に進んで行く方に特にオススメです。

小泉 浩子

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