彼女がボスを務める職場では、ミスも妥協も許されず、盾つく者は潰される。オフィスでの噂話がツイッターを通じて交わされるシーンがいかにも知の最先端ぽくてシャレていると同時に、ヒロインの置かれている立場が端的に示される。(40点)
彼女がボスを務める職場では、一切のミスも妥協も許されず、盾つく者は容赦なく叩き潰される。オフィスでの噂話がツイッターを通じて交わされるシーンがいかにも知の最先端ぽくてシャレていると同時に、ヒロインの置かれている立場が端的に示される。仕事が恋人、ライバルに情けは無用、有能だが唯我独尊、部下からは“魔女”と恐れられている。そんな、弱肉強食のビジネスの世界で勝ち抜いてきたキャリアウーマンは、恋愛ですら計算ずくで進めようとする。映画は、彼女が人間らしい感情を取り戻していく過程を通じて、愛の大切さを説く。
NYの出版社で編集長を務めるマーガレットはビザの不備で国外退去処分の危機に。咄嗟の機転でアシスタントのアンドリューと結婚すると宣言、アンドリューも編集者への昇格を条件に偽装結婚に同意する。そして移民局の審問官を納得させるためにアンドリューの故郷・アラスカに向かう。
豊かな自然と沈まない太陽、人々は素朴で互いに他人を思いやっている。生き馬の目を抜くような業界にいるマーガレットにとってそこは異次元のように映ったに違いない。オフィスではアンドリューを奴隷のようにこき使っていたのに、弱みを握られているとはいえ尊大な態度が控え目になっている。アンドリューの親族・友人の歓迎によって、彼女は自分の本心が求めていたものは成功などではなく、家族のぬくもりであると気づく。ピンヒールにルイ・ヴィトンといった“戦闘服”が、カジュアルな装いになっていくことで彼女の内面の変化を視覚的に表現する展開はスマートだ。
だが、本来はコメディのはずなのに、笑わせどころのシーンが面白くない。マーガレットがキモい男性ストリッパーに絡まれたり、気がつくとアンドリューと裸で抱き合っていたり、アニーの前で奇妙なダンスを踊ったりと、ウケ狙いがことごとく空振り。しかも、マーガレット追ってNYに戻ったアンドリューが彼女にプロポーズするなど、強引にハッピーエンドに持っていこうとする。40過ぎの「負け犬」女が、たった 3日の変心で地位は安泰、10歳以上も年下男(しかも実家は大金持ち)をゲットするなど、少し甘すぎるのだはないだろうか。。。
(福本次郎)